Need one more drive IC.
フラップモータの動作がおかしい964のエアコンユニット。ドライブICを4個とも取り外した状態だけど駆動されるフラップモータは5個有る。
このドライブICには2個の出力が有り、それぞれ0Vと12Vを出力出来る。
こんな配線を考えたら良く解るけど、モータ両端の電圧が0Vと0Vなら停止。12Vと0Vなら正転。0Vと12Vなら逆転。
こんな感じでフラップモータは正逆のコントロールが成されて居る。これから解るように素直に考えると3個のモータには3個のICが必要となる。
ポルシェ964には5個のフラップモータがあるので本来ならエアコンユニット内のドライブICも5個無いとおかしい。
でも、当初の設計では4個のモータだったけど途中で5個に増えたんだと思う。
ポルシェの担当者がHELLAに頭を下げに行ったけど、既に部品配置とかは出来上がって居た。そこを何とか・・・と頼んだ結果、HELLAのハード屋さんは配置はそのままでパターンをこんな感じに引き直した。
今度はHELLAのハード屋さんがソフト屋さんに頭を下げに行き、凄くトリッキーな制御を実装して貰った。
これは「L」モータを正転、「R」モータを逆転する場合だけど、この場合は普通の制御で行ける。
でも問題は端子を共用しているモータを回す場合だ。HELLAのハード屋さんが考えたやり方は以下の通り。
例えばデフロスタのモータを正転させるとしよう。上側の端子に12Vを印加すればデフロスタのモータは正転する。しかし共用しているフートモータが逆転してしまう。
そこでフートモータの逆転を防止する為に、フートモータの反対側端子にも無駄に12Vを印加する訳だ。これによってICを共用しているけど、デフロスタのモータだけを回す事が出来る。
HELLAのソフト屋さんの嫌そうな顔が想像出来る。でもハード屋さんだって好き好んでこんなトリッキーな案を考えた訳じゃ無い。元はと言えば途中で仕様を変えたポルシェの担当者が悪いんだから。
物語はフィクションですが、制御の内容は事実です。世界中でも964のエアコンユニットの修理をしようとする人か、フラップモータの端子電圧を測定してトラブルシューティングをやりたい人にしか役に立たない情報だけど、あまりにも変態的な制御だったので誰かに話したくなっただけ。
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