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2023年9月12日 (火)

Let's learn about the charging system of German cars.

09121_20230914112401 今日は少し古いドイツ車の充電系に付いて書いてみたいと思う。ちょっと関連した作業があって、唐突にそのことだけを書いても伝わりにくいと思うので書くけど、長くて退屈なので最後まで読んでくれるのは10人位と思う(笑)。
 ダイナモからオルタネータに変わった辺り、レギュレータが機械式だったり半導体式だったりするけど、チャージランプはシンプルな回路で残して置きたいという時代というか設計思想の充電系。

 IGスイッチをオンにすると「A」点の電圧は12Vに成る。その横のチャージランプは数Wの小さな電球が付いていて、その先は「B」点を経由してレギュレータに繋がる。
 レギュレータはエンジン停止中やエンジン低速回転中は「最大発電命令」状態なので内部接点は短絡して居て、その先はオルタネータ内のフィールドコイルに繋がって居る。フィールドコイルの反対側はアースに落ちて居て、コイルの抵抗値は数Ω程度なのでチャージランプの抵抗値に比べると圧倒的に小さい。結果的にチャージランプにはほぼ全ての電圧が印加されて明るく点灯する。と同時にフィールドコイルにも微弱な電流が流れて弱く磁化される。

 エンジンが回転を始めると弱く磁化されたコイルが弱く磁界を変化させるので、ステータコイルに少しだけ電圧が発生する。この電圧はすらっと並んだダイオードを経由して外に出て行こうとするが、バッテリの+端子に繋がった方はバッテリ側の電圧が高いので流れない。もう一方の右側のダイオード列を経由して「61」と書かれた端子からレギュレータとチャージランプの間の点に繋がった方の電圧は1V位しか無いので直ぐにオルタネータ側の電圧が高くなって電流が流れ込む事が出来る。
 B点に流れ込んだ電流はレギュレータの接点を経由してフィールドコイルに流れ込み、フィールドコイルの磁力を少し強くする。と同時にB点の電圧を少し高くするのでチャージランプ両端の電位差が少なくなり、チャージランプの明るさが少し減少する。
 エンジンの回転数がさらに高くなると上記の現象が加速度的に進行し、「61」端子経由の電源でフィールドコイルはフルに励磁されることになる。と同時にチャージランプの両端の電圧、すなわち「A」点と「B」点の電位差が無くなるのでチャージランプは消灯する。
 正常な発電系ならこの状態変化はエンジン始動からアイドリングまでの間に全て完了してしまい、アイドリングの時はサチレートして居て運転者が気づく事は無い。

 追加の情報に関しても少し。

 12V車のフィールドコイル抵抗値は4Ωとかその程度なので、レギュレータが最大発電命令を出しても最大電流は精々3Aとかその程度。だから「61」端子に繋がって居るダイオード3個は小さなダイオードで良い。
 対して充電電流が流れる「B+」端子のダイオードには、オルタネータの出力とか消費電流に依るけど50Aとか下手したら100Aレベルの電流が流れる。だからここのダイオードはデカくて放熱器に取り付けられて居る。
 ぱっと見たら「61」のダイオードが不要で「B+」端子に直接レギュレータを繋げば良いような気がするけど、そうするとバッテリからの電流が常時レギュレータやフィールドコイルに流れて宜しくない。それを防止する為に追加のダイオードユニットが存在する。そしてこの辺りは会社や時代に依って設計思想が違い、これとは違う回路を採用して居る会社や車種も有る。今回の例はあくまでもこの時代のBOSCHが採用して居る回路という事。
 チャージランプと並列に付いて居る抵抗は付いて居るのと付いて無いのがある。これはチャージランプが断線してもフィールドコイルに「呼び水」的な電流を供給できる様にするための抵抗。若しくは呼び水電流を増強するための抵抗。こんな感じでここの電流は大事なので、LEDとかに変更すると「発電が悪い」と成ったりする。チャージランプはLED化しないようにしましょう。

 これと同じシステムでも、レギュレータが別体の物も有ればオルタネータのお尻に一体側になっているのも有る。毎回書くようにフィールドコイルのブラス側にレギュレータが入って居るのもあれば、マイナス側に入って居るのもある。
 機械式のレギュレータと半導体式のレギュレータは相互に交換可能な物が有るけど、それも大前提として前記の基本思想が同じで有る事が重要。だから今回書いた様な話が「そんな事解っとるわい!」と言う様なショップや個人の方ならレギュレータ単体の修理とかも作業出来るけど、そういうのが解らないままに単体修理を依頼されても、全体が見えないのでこちらは怖くてたまらない。そして「やっぱり治ってません。」と言われても、会話が通じないからその次のトラブルシューティングが進まない。
09122_20230914112401  これはナローの一部に採用されて居たオルタネータ。少しダイオードの配置が違うのが解ると思う。
 これに関しては明日の作業で書こうと思う。



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