magnetic saturation
ポルシェ911用のCDIで所謂3ピンタイプ。これは点火信号としてデスビ内のポイントを使う。対して6ピンタイプはデスビ内のマグネチックピックアップの信号を使う。
入力にセミトラとフルトラ的な違いがあるけど、それ以外の回路はほぼ一緒。
信号発生器にポイント代用のオープンコレクタアダプタとCDIコイルまで準備して受け入れ検査を始めたのに、電源を繋いでもピーッと言う発信音が聞こえない。なんか聞こえたような気もするけど安定して聞こえては居ない。 仕方無いから裏蓋を開けて見ると、中央の電源端子が嫌な変色具合なのに目が行く。
TIGでピーッと舐めたような色合い。かなりの高温になったのかな?、なんか嫌な予感だ。 基板を外すとトランスとメインコンデンサがよく見える。トランスのフレームが変色しているように見える。やっぱりヤナ予感だ。
トランスを外して測定して見ると、メチャダメじゃ無いけど1割から2割くらいインダクタンスが低い。不思議な状況だ。
ヤナ感じが消えないのでトランスの鉄心まで分解して見ると、フェライト系?のコアの色合いというか雰囲気が今までと違う事に気がついた。
やっぱりヤナ予感だ。他のパワー素子をチェック為たら生きていたのでトランスだけの問題だろうか。 こんな時の為に?新しいトランスがある。かなり面倒な作業だったけど、トランスを作れる様になって居て良かった。
新しいトランスに新しいメインコンデンサ、そして基板側は何時ものリフレッシュに加えて、DC-DCコンバータ1次側の素子も交換しておいた。
新しいトランスは素晴らしい。新しいメインコンデンサに対して6000rpmで312Vも出て居る。
ヤナ予感の理由の一つがこのグラフ。これはトランスを作ろうとして居た時の実験データだけど、上の段が1次側トランジスタのコレクタ電圧で、下の段が同じくコレクタ電流。
そしてこのデータはトランス1次側のインダクタンスを少しだけ減らした時のデータ。最後の最後で電流が急に上昇をし始めて居るのが解る。
何回か実験をして見て解ったのはトランスの磁気飽和だった。飽和してインダクタンスが減少し、一気に電流が増えて要る状態。そしてその状態に割とギリギリの所でノーマルの運転が行われて居る。
と言う事で今回は、何らかの理由で1次側のインダクタンスが減少し、電流が増加し、少しだけ鉄心が飽和しかけて、温度も上昇し始めて、インダクタンスも少し上昇し・・・・と悪循環に陥ったんじゃ無かろうか?と言うのが私の予想。
理由は解らんけど直ったのでOK。ハハハ、相変わらず低レベルな整備士だ。
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