pump-priming current
昨日のポルシェ928用オルタネータ。どう考えても片側のスラスト受けが無いので押さえの板を作った。
詳しく書くとテールベアリングを保持している直ぐに崩壊する樹脂リングの縁が受けて居るけど、ここに力が加わるには1mmほどの遊び分だけ軸がずれた後の話。
と言う事で、この板が無ければ1mmほどガタが出るし、1mmで済むのも樹脂リングが生きている間だけの期間でしかない。
この向きでスペーサが入って居たけど、普通に考えたら小径の方がBrgのインナに当たって、大径の方が面の大きなファンに当たる様に設計するはず。
付け間違えと思うので逆にして組立てた。なんか前回までの作業が不安だ。ステータコイルの巻替えまでしてあるのに。
928の充電不良に関して調べて見ると幾つかの問題が有ることが解ってきた。それに加えて巻替えられたコイルを検証する意味で、「呼び水電流」と発電量を定量的に測定して見た。
この測定には2台の安定化電源とオシロかテスタが必要で、ダイナモ試験機の所にはそれが無いので散らかった机の上で試験する事に。
動力も無いので電動ドリルを使った。線がのたうち回っているから危ないなあ。人がやって居たら指摘したくなる作業だ、パキスタントラックと変わらんな。
フィールドコイルの初期電流を変化させて行ったら、発電を開始するには軸回転数が1100rpm時に290mA以上が必要で有る事が解った。
これを計器板に使われて居そうな3.4W球で実際に計算して見ると、フィールドコイルの抵抗を無視して12V時に3.4Wなら283mAしか流れない。回路図が無いと解りにくいと思うけど、この呼び水電流は前記の電球経由の電流だからギリギリの電流値しか流せて無い。
この手の話はBMWのバイクとかでも有るけど、928にも有ったみたいで特定のオルタネータを使うときは計器板の裏に対策品のセメント抵抗を付ける様になって居る。
当然この抵抗はチャージランプの電球と並列に付ける。そうすると呼び水電流が増加して発電を開始しやすく成り、チャージランプはほんの少しだけ暗くなるかも知れない。
一旦発電を開始するとOKだから、始動後に一瞬だけウォンと空ぶかしすればかなりの状況下で発電を開始する可能性が有る。
でも色々な要因で開始の閾値が高くなった車両だと、吹かしても発電を開始しない様な事が起こりうる。
同じような事は改善されて居るとは言え他車でも起こりうる。チャージランプをLEDに交換したり、チャージランプが切れたまま放置して居たり、チャージランプ系に接触不良が有ったりすると高い確率で起こる。正常なオルタネータを付けているにもかかわらず。
時間を作って解りやすい説明をしたいと思いますので、みなさんチャージランプを流れる電流には注意して置きましょう。
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コメント
ポルシェのオルタの事は全く分かりませんが
普通チャージランプはチャージしてないランプ
なので、ランプ電流をオルタの初期励磁電流に利用するのは、ランプ切れとかを考えるとチョットどうかと思ってしまいます。
デンソーとか日興のオルタしか見た事ありませんが、チャージランプ電流が初期励磁電流というのは記憶にありません。
投稿: riki | 2022年11月26日 (土) 09時29分
デンソーのは古くはチャージランプ用接点、最近はチャージランプ用OC出力が準備して有りますね。
BOSCHとかマレリには今回の様な回路が沢山有るのですが、利点としてはキーオン時にチャージランプ点灯に依って、充電系の一部ではありますが正常動作をモニタでは無く実際に確認出来る事が有ります。また励磁電流の供給がオルタネータ内の整流とは別のダイオードから直接行われるのも、回路的にメリットかも知れません。
しかし「キーオン」「チャージランプ点灯」と指さし確認する様なユーザー以外は直ぐにキーを回すと思いますから、モニタ回路の故障が充電不良を引き起こす「トラブルの元を増やす回路」かも知れません。
投稿: みつやす | 2022年11月26日 (土) 10時09分