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2021年10月20日 (水)

Heat treatment of epoxy resins

10201_20211020212301 昨日に引き続いてASK21の後席修理に関して。
 メインの積層がほぼ硬化したので圧縮していたスポンジをのけてpostcuringの作業を行った。急に寒くなったので暖めないと硬化がメチャ遅いという理由も有る。
10202_20211020212301  いかにも「応力集中して下さい」と言いたげな長穴の周囲だけ追加で2プライ積層した。




10203_20211020212301  これが付いて居た金具。検索するとここの20番に同じ箇所の破損例が出てきた。でもここでは金具の方が壊れて居る。
 よく見るとここの例ではアームと座板が溶接してない。手元の部品はアームと座板が溶接してあって少し違う。機体によって小さな違いがあるかも知れないなあ。
 それにしても分厚いパテだ。最厚部で3mmくらい有る。でもここの接着が強かったおかげで、ボルト穴廻りが破損するより先に座板の縁が切れた。と言う事は「パテ」と言うよりもエポキシに増粘剤を混ぜた「接着剤」と考えるべきだろう。
10204_20211020212301  翼根部の修理で紹介されていた「スキーム1」の溝埋め剤と同じ配合で「接着剤」を作って隙間を埋めた。
 最初は金具の出来が悪いと思っていたけど、金具は2次元の曲げでFRP部品は緩い3次元に成った部分だから合うはずが無い。
 ここまで来たら後は成型と塗装。もう耐空性に影響を及ぼすような瑕疵は発生しない。見た目の問題は起こりうるけどね(笑)。

10205_20211020212301 オマケで先日修理した翼根部のpostcuringデータ。お守りを依頼したQ大の学生さんが採ってくれた。
 この樹脂の説明には以下の文がある。
 Operational temperature -60 °C up to +50 °C without heat treatment.
 After heat treatment at 50-55°C, the system meets the standards for gliders and motor gliders (operational temperatures -60°C to +54°C).
 In order to meet the standards for motor planes (operational temperatures -60°C to +72 °C), heat treatment at 80 °C is necessary.
 つまり、何も熱処理しなければ50℃までOK。50-55℃の熱処理したらグライダー用の基準に合格して54℃までOK。72℃まで要求される飛行機の基準に合わせるには80℃で熱処理しとけ。と。
 これから読み取れることは、グライダー用には50-55℃で処理するべきだけど、もし難しくてフラフラするなら高温側にずれた方が安全という事。
 まあ実際は熱処理しなくても50℃までOKな訳で、実際の運用を想定するとあと4℃の為に寝ずに温度管理するの?と言う気はする。でもシュライハー社がやれと言うし、そこまでやらないとグライダーの基準に合わないのならやるしか無い。私はルールを守る人間だ(笑)。
 そういう話をした事も有ってか、少し高めの良い感じの温度管理が出来て居る。風が入る所だったので所々暴れて居るけど、表面温度計のデータという事を考慮すれば積層の中心部は良い感じの温度管理が出来て居たと判断して良いと思う。

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コメント

グライダーは強度と軽さのためにcfrpを使わないのですか? 

投稿: balla | 2021年10月20日 (水) 23時10分

 この機体は復座の練習機なので、コストとのバランスが大事なんだと思います。
 でもそういえば先日やったディスカスは単座の競技機ですがガラスでした。航空界って保守的なので、そういう面からもガラスが多いのかもしれません。

投稿: みつやす | 2021年10月21日 (木) 08時18分

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