整流器という言葉がしっくり来る
電圧が13.0Vに成ったら接点が閉に成る。
接点を開にするには12.9Vじゃ無くて9.0Vまで電圧を下げる必要が有る。
ダイナモが回転して出力電圧が13.0Vに成るとバッテリと繋がって充電が始まる。
ダイナモが止まって発電がゼロに成っても、バッテリ電圧が十分ならリレーは閉のまま。逆流してしまう。
バッテリ電圧が9.0Vまで放電して、始めてリレーが開になる。これじゃ不味い。
リレーに少し細工をする。今までの細い巻線の電磁石の上に、充電電流が通る太い巻線を追加してみた。
ダイナモ出力が13.0Vになるとリレーが閉じて充電が始まる。その時に追加の巻線は細い巻線と同じ極性に成るので、リレーの可動部を更に引っ張って接点を強く押し付ける。
ダイナモが止まると普通のリレーと同じように電流が逆流してしまう。しかし太い線の電流が逆方向なので、磁石としては細い巻線と逆極性に成る。止まったダイナモは低抵抗なので太い線には凄い電流が流れる。太い線の磁力が急に強くなり、細い線の磁力と等しく成ったタイミングでリレーの可動部が開放される。
細工のおかげで、バッテリが9.0Vまで放電せずにダイナモを切り離す事が出来た。一瞬だけ逆流してしまうけど仕方ない。
カットインリレーというかカットアウトリレーというか、ダイナモとバッテリの間に入っている機械は意外と複雑な動きをしている。
細い巻線だけを見ると9.0Vまで放電して開になるリレーよりも、11.0Vで開になるリレーの方がこの用途には適している事が解る。太い巻線に着目すると、瞬間的な逆電流が少しで済むリレーの方が勝れている事が解る。
昨日のリレーの様に開放するのに16Aもの逆電流が必要と成ると、小型のダイナモだとコンミュテータが焼損する可能性が出てくる。それは以下の理由による。
DCダイナモの出力間抵抗を測って見ると、1Ω以下の極々低い値で有ることが多い。大型でアーマチュアの巻線が太かったり、立派なブラシがきちんとメンテされているほど抵抗は低い。
メグロの様に定格で80W程度の小さなダイナモの場合、通常でも1Ωを超える場合が有るし油汚れなどでコンミュテータの位置によっては2Ωを超えるような時も有る。そんなダイナモに昨日のレギュレータを組み合わせると。
エンジンを停止した瞬間は、元気な13V位有るバッテリに1Ωの負荷が接続された状態に有る。このときの電流は13Aなので昨日のレギュレータは開放に成らず逆電流が流れ続ける。でもダイナモはエンジンを回すほどの力は無いので、ブラシとコンミュテータを燃やしながらバッテリの放電を待つしかない。
長くなったから誰も読んでないと思う(笑)。でも、最低でも今日書いた事くらいまで解って貰わないと、ダイナモとレギュレータの総合的なトラブルシューティングや修理はスムーズに進まない。
でも現実には、「難しい話しは良いからぁ、結局修理は出来るんですか!?、出来ないんですか!?」みたいな話しに成るのが現実だったりするわけ(笑)。
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コメント
丁寧な説明有難うございました。
兄の遺産のMF135トラクターのレストア時にルーカスのダイナモ+レギュレーターを直そうとしましたが難しすぎて断念し、ホンダ アクティーのオルタネーターを取り付けて運用しています。直流発電機の制御は難しすぎました。今回の説明で胸のつかえがとれた気がします。
投稿: 亀三(カメサン) | 2020年5月16日 (土) 08時34分
一人でも解った、役に立ったと言う方が居れば書いた意味がありました。
DCダイナモって意外と微妙なバランスで成立して居るんですよね。装着時に一瞬逆接続しただけで残留磁気が反転し、±の発電が逆に成ったり・・・。
気が向いたらまた書いていきますので、暇なときに読んで下さい。
投稿: みつやす | 2020年5月16日 (土) 10時14分
▲記事とは直接関係ないことで、難しいことは分かりませんがぁ。小学生だった頃、やたら強力な磁石を教室に持ち込んで自慢していた同級生がいた。自転車の発電機をヤスリを使って分解した十字形の磁石だった。自転車をどんなに漕いでも、発電機は交流しか発電しません。どうしたら直流が発電できるのか?RSさんの数年前?のブログで、マブチモーターを使っての発電実験記事を思い出しました。
投稿: ラモ | 2020年5月17日 (日) 17時28分
強い磁石を持って居る子が得意になるのは解ります。私もそんな子供でした。
私の一番の自慢は、ゴミ捨て場のトランペットスピーカから外したでっかい円筒形の磁石でした。女の子には受けませんけどね(笑)。
投稿: みつやす | 2020年5月17日 (日) 18時46分