地味だけど凄い機能
昨年末にBOSCHのDMEに使われている専用ICの互換品を作った。これを作って置いて良かったなあ・・・と思うのは部品取りのDMEが枯渇してくるもう少し先の話だと思う。
でもその過程で知ったLM1815と言うICの実力を試す機会がやってきた。ポルシェの6ピンCDIのピックアップコイル入力部への利用だ。
自社の試験機では同じ様な事をして遊んでいたけど、なかなか素晴らしい機能なので実際のCDIで試してみたいと思っていた。そしたら中が腐ったCDIが入ってきて、その入力部にこのICを使う事に成ったという訳。
1枚目は20Vp-pの入力信号を回路に入れた状態。黄色がデスビからくるピックアップコイル信号(疑似信号)で、緑がサイリスタのゲート信号。途中に妙な突起が有るけど、それに惑わされずに最大の振幅がゼロクロスする点だけを正確にキャッチしている。
そのくらいなら単なる閾値方式でも行けるのだけど、その方式だと2枚目の1Vp-p信号には反応しない。逆に2枚目にピッタリ反応する様に設定すると、今度は1枚目の信号で2回も3回も反応してしまう。
実際にノイジーな信号で悩んだ人にしか解りにくいとは思うけど、3枚目に示す実際のピックアップコイル信号を眺めながら想像して貰うと、少しは共感して貰えるかな?と言う気持ち。
今回はDIPを使って3次元配線で組み上げたけど、数をこなすつもりならFPを使って小さな基板にしてしまった方が綺麗で早い気がする。
直ぐ横でバチバチ火花を飛ばし、信号線を近づけたりしたけど誤動作は無かった。極端な試験で現実には起こり難いけど、単純な閾値方式だと確実に誤動作が起こる範囲。かなりイイ感じだ。
回路構成も古い車の価値だと思って作業しているから、中身をごっそり入れ替える様な作業は積極的にはやりたくない。でも古いCDIの基本機能は生かしながら実用性能を上げたい場合などに適した妥協点かもしれない。実際に私の白骨号ではDME内をこのICに入れ替えてからアイドル近辺の安定性が増した。
それと仕事として考えると、単純な閾値方式よりもこの方式の方が許容値が何倍も広い。だから手離れの良い仕事ができるし、依頼者側としても安定動作のマージンが増えるし再調整などの可能性が低くなってメリットが有ると思う。
ラン 5km
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コメント
なんだかご利益ありそうですね。
これって、例のDMEリフレッシュ作業に含まれるメニューなんでしょうか?
投稿: うんてれがん。 | 2020年7月23日 (木) 20時02分
DMEが使っているクランクセンサはノイズが少ないので、これを使わなくてもほぼ誤動作は有りません。
私の個人用は改造して入れてますけどね(^^)。
6ピンCDIのデスビ内に有るセンサは、センサ自体なのか配線なのか知りませんが、CDIのコネクタ部分でかなりのノイズが有ります。
それなのにCDIの入力回路はシンプルな閾値で判断する回路なので、こっちに関しては性能面のメリットがはっきりと有ります。
オリジナルじゃ無いと言うデメリットも有りますけど。
投稿: みつやす | 2020年7月23日 (木) 20時42分
そうですか。
CDIなしの3.2Lでは気にしなくて良いわけですね。
投稿: うんてれがん。 | 2020年7月23日 (木) 21時02分