少女Aは負けず嫌い
「創成歯切りは理論的には美しいかも知れないが、B子のやっている輪郭を小さなエンドミルでなぞっていくやり方の方が、一般的には解りやすいし実用的に思えるね」と呟いたのが悪かった。
「少女A」は朝早くからゴリゴリと塩ビパイプを削り始めた。そして「B子のやり方でこんな歯幅のギヤが作れますか?、長いスプラインが切れますか?」と突っかかる。なかなか負けず嫌いで気の強い女の子だ。嫌いじゃ無い。
出来上がったギヤを詳細に見ていくと、切り下げのように規則正しい段々が出来ている。今は面を10分割しかしてないらしいので荒くても仕方ないけど、この段々は何かおかしい気がする。
昼間は別の作業をしながら原因を考えて居たみたいで、夜になってから再度塩ビパイプをゴリゴリやり始めた。
彼女はカッタの刃先Rの問題だと言う。ISOやJISではカッタの先端Rがモジュールの0.38倍と規定されて居るとか。それを今朝の試作ではピンカドのエンドミルを使ったから段々が出来たと。
話を聞いている間に片面が削り終えた。
続いて反対側の面を削り始める。最初は面倒に感じたけど全部CNCがやるんだからそれほどでも無い。全部で1時間くらいの切削時間か。
なかなかの出来栄えだ。塩ビ管とジョイントの接着面が目立つけど、歯面の形状は悪くない感じ。
歯車部分だけを切り出したら接着の悪い部分が取れてしまったけど、インスタ映えする?面白い絵が出来た。
CADで出力した輪郭と比べたらピッタリ合った。まあ当たり前か。「少女A」は満足そうだ。指導者である私も嬉しい。
バイク 12km
| 固定リンク
コメント
負けず嫌いと言うか 「いちびり!」
(使い方合ってますか??)笑
投稿: MASA | 2018年6月30日 (土) 04時31分
これは素晴らしいですね。3Dプリンターでは材質に制限があるし、歯切り盤を購入するほど費用がかからない。歯研かシェービングができれば小ロット高級歯車の分野で市場が獲れそうですが、このコンセプトからは外れますね(笑)。高歯とか特殊な圧力角とかの自由度で隠れた市場がないものか。
投稿: Mark@小倉南区 | 2018年6月30日 (土) 08時30分
>MASA さん
ちょっと違うような気がするけど、大阪弁プロの嫁さんに聞いてみます。
>Mark@小倉南区 さん
効率的な生産には向かないけど、高い汎用性とか多様性が有るのと、創成歯切りの一部始終を目視出来るのは面白いと思います。
やっぱり大学とか高専の教材用とか、変な研究室・試作室くらいでしょうか。
もう一つ面白いのは、Gコードが20行くらいしかないんです。数学的で良いでしょ。
投稿: みつやす | 2018年6月30日 (土) 09時08分
凄いですね。20行ですか!
メモリに制限があった頃の職人さんは
いかに少なく書くか、それこそ職人芸のような
Gコードを書かれていたみたいですが、
微小曲線で平気で20万行打ち出すCAMを使っているおいらには
神業としか思えません。
投稿: riki | 2018年6月30日 (土) 18時15分
20行というのはサブルーチンを使って20歯分の繰り返しをさせたりしているので、軽いインチキでは有りますが輪郭データがズラーッと並んでいるタイプとは明確に違う雰囲気を感じる事が出来ます。
今日から動画を紹介して行こうと思って居るんですが、動画の編集とか難しいですねえ。
投稿: みつやす | 2018年6月30日 (土) 19時19分