慌ただしい夕暮れ時
まだ薄暗くは成っていない夕方の事、嫁さんが実家から帰ってきたので駅まで迎えに行き、家でコーヒーを飲んでいたら変わった排気音が上がってきた。見に行くと間違ったエンジン配置の黒いオートバイが止まっていて、革ジャンを着たオッサンが横に立っていた。
革ジャンのオッサンは私と少しだけ世間話をし、帰ろうとキックをし始めた。でも何回キックしてもエンジンは始動しない。こんな変なオートバイは簡単じゃ無いだろう。と思って見ていた。
さらにキックをくり返すけどエンジンはかからない。嫁さんが出てきて「布団も有りますよ(笑)」とか言い出す始末。でもエンジンはかからない。あたりは心なしか暗くなってきたような気がする。何となくやばい気がし始めてプラグを外して掃除したり、新品のプラグに交換してみたりした。でも大気中ですらプラグに火が飛んで無かった。
とうとうオッサンはエンジン前のカバーを外し、点火コイルを外してしまった。テスターで色々調べるけど、どの端子間を測定しても限りなくゼロΩに近い値。明らかに何かおかしい。流石にこんな変なコイルは手持ちが無いのでオートバイを軒下に突っ込んでギブアップ。
あたりははっきりと解るほど薄暗く成ってきた。この場所にオッサンを置き去りにしておくと、夜の間にちゃしろに喰われてしまうかもしれない。仕方ないので家まで送り届けた。うちのタクシー代高いよ(笑)。ちゃしろランの作業か2柱リフトのコンクリ作業に強制徴用が決定。
で、晩飯の後で落ち着いて再測定したり再観察したりしていたら意外な?事が解ってきた。バッテリー点火という話だったけどマグネトー点火だったという事実が。
測定しながらもバッテリー点火にしてはコイル廻りの配線がおかしいなあ、と思っていた。でも古いドイツ車だから妙に凝った構造なんだろうと思って気持ちを納得させて居たわけ。
ただ問題はマグネトー点火としてもコイルがおかしいという事。ポイントに行く線と反対側の線の抵抗が0.01Ω位しか無い。別の言い方をすれば1次コイルの抵抗がほとんどゼロとも言える。試しに鉄心とポイントに行く線の抵抗を測っても0.01Ωの単位。これじゃあこの間にポイントが有っても何の意味もない。
HPのマルチメータで4線式まで持ち出して測定したのであきらめが付き、中を見ようとケーシングをバリバリ破壊し始めた。ポイントのリード線と車体ハーネスに行く端子は繋がっている。と言うことはここはキルスイッチの端子だ。さらに外皮を割っていきたいけど意外と固くて難しい。
この辺りで嫌になってもう一度抵抗を測定してみた。すると1次コイルに相当する部分の抵抗が0.35Ωくらいまで上昇してきた。これだと1次コイルとしてあり得る抵抗値。CDIとかマグネトー点火なら1Ω以下の場合も有るから。でも最初の様に0.01Ωというのはあり得ないと思う。
手が痛くなったからここで作業は止めたけど、現時点での結論はコイルの1次側、たぶんポイント端子に近い側が鉄心に短絡してしまったんじゃ無いかと思われる。それが破壊作業の衝撃か変形によって一時的に回復したと。
このコイルの定格値を知らないから標準値まで回復したかどうかは解らない。でもあり得る数値の範囲までは回復してきたのは事実。でもこれをこのまま装着してエンジンがかかったとしても、これで遠出する気には成らんだろうなあ。
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コメント
m(__)m
投稿: ラモ | 2016年10月11日 (火) 17時26分
普通なら20〜30万円コース(それ以上)、全世界公開料金制度により割引されるんでしょケド・・・。
何だか、あらたなシリーズがはじまりそう気配で、勉強になりそうです。ワクワク。
投稿: そクラテす | 2016年10月11日 (火) 19時03分
2柱リフトの基礎コンクリ、全部手練りでお手伝いいただける様です(^^)。
投稿: みつやす | 2016年10月11日 (火) 19時47分