ボンディングワイヤは凄く細いぞ
昨日のフランス製オルタネータの続き。ブラシホルダ一体型のレギュレータが壊れていて常に最大出力に成っていた。具体的にはフィールドコイルに最大電流が常時印加されて居たわけ。
この時点では電球が切れまくったと言う話しを聞いていたので、表面化した症状と手元の症状が一致したので素直に理解できた。レギュレータはモトローラのハイブリッドICが載っているだけで単純な構成。でも国内在庫も見つからないし海外でも2本線が出たタイプはメチャ少なかった。納期が無かったので作ってみる事にした。
金属のカバーをタガネで開けたら綺麗に取れて中が観察できた。滅多にないチャンスなので興味深い。配線の意味からベースの板はメインTrのコレクタと解る。と言うことは大きなトランジスタが基本にあり、コレクタ放熱板の上に周辺回路が載っていると考えたら良さそう。
詳細に見るとレーザートリミングした抵抗とか、ああこれがフライホイールダイオードだな、と言う感じで解る。それにしてもボンディングワイヤの細さは何なんだ!。
ここには充電電流は流れないけどフィールド電流は流れる。計算上は最大で6.5Aくらい流れるんだけど、こんな0.1mmも無いような線で大丈夫か?。
でもよく考えたら細い電線に大電流が流せないと言う理屈は無くて、同じ材料で直径が細いと抵抗が大きく、抵抗が大きいと同じ電流の時の発熱が多いと理論は言う。だから発熱が許容できる構造に成っていれば細くても良い訳か・・・。でもこの線に6.5Aは凄すぎる。ICの設計者は度胸が据わっていると言う事だろう。
最初に最大発電モードで故障して電球が切れまくったと書いた。でも工場で測定した時は発電されて居なかった。と言うことはオルタネータ内部かオルタネータから出た太い線が焼損していたと言うことか?。そんな様子は無かったけど不思議だ。
すると実際は電球が切れたんじゃ無くてヒューズが切れていたと別の情報が入ってきた。このヒューズがチャージランプ系も含んでいれば、この手のオルタネータは呼び水が無いから発電が始まらない。すると測定時の無発電の説明は出来る。じゃあ最大発電モードで故障との関連は??。
まずレギュレータが最大発電モードで故障した。次に過電圧が発生して何処かの電球が切れたかもしれない。さらに今回見つかったヒューズが過電流で切れた。そしてこのヒューズはチャージランプ系に入っていたのでチャージランプ経由の呼び水通電が無くなり、結果的にオルタネータは発電を開始する事が無かった。
こういうストーリーだろうか?。エンドユーザーが全ての現象を把握しているとは限らないし、メカニックが聞いて私に伝える話しがエンドユーザーの話と100%同じとも限らない。と言うことで断定までは出来んけど、まあ何となくストーリーとしては成立するかな?と言うところ。これならレギュレータを修理し、切れたヒューズを交換し、念のために充電系の太い配線を点検しただけでOKかもしれない。
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コメント
100Aの3相IGBTモジュールの中身でも、そんなボンディングワイヤが5本位パラでした。短いからいいんでしょうか?ね。
投稿: riki | 2015年2月20日 (金) 08時43分
半導体のジャンクション温度が100度とか125度に成っているかも?と考えれば、その横の金属線がそれ以上の高温に成ったとしても許せるような気がするようなしないような・・・。
妹の旦那が車載用の賢いパワー素子の人なので、盆か正月に会ったら想定温度を聞いてみましょう。
投稿: みつやす | 2015年2月20日 (金) 10時40分
半導体、特にパワーMOSFETの例ですがゲートとソースにボンディングワイヤーが有ります。オープン破壊状態で開頭してみるとチップのソース電極のボンディング部が熔けると云うより外れてることが多い様に思います。チップのソース電極の表面温度が一番焼けるワイヤーも発熱してボンディングポイントが外れてる
例を経験しました。
一体部品の台座を解析して再利用でそれらしく(失礼?)組んで修理あがりには感嘆なり!
セールス・チェンジニアなら、部品出ないのでちょうど隣りにスパイダーいかが勉強しますよで!
投稿: 山向こうの住人 | 2015年2月20日 (金) 15時16分
ボンディングワイヤを装着するとき、動画では押しつけているだけに見えますがスポット溶接みたいな事をしているんでしょうか?。
台座を使ったのは複雑な形状の台座を新たに作りたく無かったからです。基本的に怠け者なので(笑)。コストのかなりの割合を占めているような、しっかりした台座でした。
投稿: みつやす | 2015年2月20日 (金) 15時58分
ボンディングはこすり付けているだけです。
超音波を当てていますが
どうしてくっつくのか説明は出来ません。
「昔ボンディング屋だったriki」
投稿: riki | 2015年2月22日 (日) 09時45分
それだけでくっつくんですか!?。微小な摩擦なんでしょうか。不思議な世界だ。そう言えば摩擦溶接とか有るけど、あれは見た目が激しいから違うメカニズムかも。
投稿: みつやす | 2015年2月22日 (日) 10時42分